「……ねぇ」
不意にその子から声をかけられ、ビクッと肩が跳ねた。
な、なんすか……?
恐る恐る視線を戻すけど、その子は私のことを見ないまま、ぼそりと続けた。
「やっぱ私って、思わず声出るくらいには可愛い?」
……。
…………ンッ?
投げかけられた問いの意味を処理できずに、数秒間硬直する。
何も答えない私をよそに、その子は自分のネイルから視線を逸らさないまま、気怠げに続けた。
「私みたいな可愛いファンに推されたら、きっと京くんも嬉しいよね。早く気づいてフォロバしてくんないかなー」
途端。
私の脳内に『ヤバい奴注意報』がけたたましく鳴り響き始めた。
やべえ。
こいつ、峰間京推しだ。
しかも、おそらくめちゃくちゃ厄介な拗らせ方してるタイプの。
京推しってめちゃくちゃ可愛い子多いけど、そのぶんガチ恋率が半端ないんだよね。
しかも、千歳くんが地雷メンの子が多いイメージ。
京千ケミをガチだと勘違いしてめちゃくちゃ千歳くんの悪口言ってるこの世の終わりみたいなアカウントと夜通しレスバを繰り広げた時から、良いイメージは微塵もない。関わりたくねぇ〜……。
しかもコイツ、なんか顔面良いからって認知されて繋がろうとしてない?証拠もない繋がり主張して番組を炎上させることだけはやめてくれよ、マジで。
と、そんな思考のもと、私はできるだけ角が立たないように注意する。
