──約一時間後。
厳しい本人確認や荷物検査を終え、ようやく会場入りを果たした私は。
当選メールに書いてあった座席番号を確認して、ようやく腰を下ろすことができた。
はぁ……なんかめちゃくちゃ疲れた。
単独参戦で慣れないまま、人の波に翻弄されるようにしてかろうじて辿り着いた私は、席につくなり大きなため息を一つ落とした。
やっぱ高額転売チケットを買ってでも日茉里に着いて来させるべきだったか……いや、貴重なお金はそんなけしからん輩に落とさず、千歳くんたちに直接使わなければ。推しに還元してこそのファンなんだから。転売ヤー許すまじ。
そんなことを思いながら、ふっ、と視線を前に向ける。
目の前に広がるのは、ため息をついてしまうほどに広いステージ。
流石はエマ、まだ四次審査だっていうのにファイナル並みに大規模な舞台を押さえてきたな。
このだだっ広い会場全てに観客を入れてくれるっていうのに、あのトンデモ高倍率だもんな……どれだけの人がエマプロを追っているのか、身をもって実感してしまう。
と、そんなことを考えているうちに、周囲の席はどんどん埋まっていく。
さっきまで空いていた私の隣の席にも、ドサッと誰かが腰を下ろした。
果たしてどんな同志が来たのかな、と期待半分、横目で見てみると。
……さっきぶつかった、態度の悪い超絶美少女だった。
「えっ」
思わず声を漏らしてしまって、慌てて口元を押さえる。
けれど、勿論遅くて。
ギロッととんでもなく怖い視線を向けられ、思わずヒッとのけぞってしまう。
ご、ごめんなさいごめんなさい、もう黙っとくんで許して……。
と、完全に萎縮して視線を逸らしていた、その時。
