ドンッ!!
不意に、誰かと思いっきり肩がぶつかった。
やばっ、人混みで歩きスマホなんかしてたから……!
「ごめんなさい!」
慌てて謝りながら顔を上げた、次の瞬間。
──息が、止まりそうになった。
うわっ、可愛い……!
そんなことある?!ってくらいに艶々で真っ直ぐな黒髪ボブに、透けるように白い肌、小動物みたいに大きな瞳。
よく見たら、耳元からさりげなく金色のイヤリングカラーが覗いていてお洒落。
他の子たちみたいにバチバチに決めてるわけじゃなくて、ゆるいスウェットにジーンズっていう部屋着みたいなコーデなのに、圧倒的な顔面力で捩じ伏せてしまえるレベルの可愛さ。
芸能人……?と、硬直する私をよそに。
その子は私を軽く睨むと、無言でさっさとすれ違ってしまう。
あれ……行っちゃった。
なんか態度悪いな……いや、でも歩きスマホしてた私に非があるし。
みんな本番前ってこともあって、ピリピリしてるんだろうな……。
ちょっと傷つきながらも、私は人混みに押されるようにして、足を進めて。
今のことを頭から振り払うようにため息を吐くと、会場入り口に続く列へと合流するのだった。
