……あまりにも、出来すぎている。
ダメ元が、ここまで綺麗に転がるわけがない。
今までの文脈からいくと、どう考えても榛名優羽が実の姉を手にかけたに決まってる。急に乗り気になったことに関しても、絶対にまだ榛名優羽の裏の目的が隠されている気がしてならなかった。
全て終わったような顔でお気楽な様子の巫静琉に少々苛立ちつつも、私は引っかかっていたことを問う。
「もしかして、四次審査で私を黒髪にしたのは、容姿を黒羽仙李に寄せて──睦を刺激するため?」
「おっと、そこまで気づいたか。流石だな」
くすくすと愉快そうに笑う巫静琉の横顔に、苛立ちを通り越して少し呆れてしまった。
つまり、この人は最初から、私を危険に晒すつもりでこの場に呼んだのだ。同意もなしにこんな場所に連れてきて、もし私が本当に死んでいたとしても、『仕方ない』の一言で片付けて、次の手を考えるだけだったんだろう。本当に私を守る気があるのなら、遥風たちが動く前に自身がなんとかしに来たはずだ。
「もし本当に殺人事件が起こって世間で炎上しても、マーケティングになるから悪くない……とか、思ってませんでした?」
「ぎくり」
「あんま自分でぎくりって言わないですよ」
「いや、でも正直千歳には腕の立つ番犬たちがいるからどうにかしてくれるだろうと信じてたんだよ」
「だからって遥風たちを危険に晒さないでください」
私がちょっと咎めるように睨むと、静琉はちょっと気まずそうに目を逸らし、言葉を探していたけれど──数秒後、わざとらしく大きなため息を吐いて、傷ついたような儚い表情を作った。
