榛名優羽は、銃を所持していた。となると──彼は、きっと裏社会の人間。
それも、ベンツを乗り回したり高級サロンで巨額浪費をしているところを見るに、かなり上の立場なんだと思う。
──裏社会と芸能界は、昔からズブズブだ。
理由は色々あるけれど、端的に言うならば、芸能界におけるお金と利権と面倒ごとの処理を丸投げできるのがそういう世界だったから。
裏社会に利益を流す代わりに、スキャンダルの揉み消しやライバルの蹴落としなどを任せる──いわば、毒をもって毒を制すみたいな関係なんだ。
そしてきっと、それはこの『EMERGENCE PRODUCTION』も例外じゃなくて。
ルシアンがCEOをしていた時代は分からないけれど、多分、静琉がCEOに就任してから、この会社はずっと──
「バックについてもらってるんですか?榛名優羽の組織に」
「ピンポ〜ン」
……出会った時から、普通の仕事をしていないんだろうな、とは思ってた。
他人に決して感情を探らせない態度。
人並外れたコネクション。
一般人とは思えない桁違いの財力。
睦のように、私の生い立ちを知る人間が身近にいる環境でさえ、私の男装が一度も表に出なかったのは──偶然なんかじゃない。
黙らせられるだけの権力が、最初から味方についていたというだけなのだ。
全部違和感しかなかったけど──そういう世界の人だって考えてみれば、全て辻褄が合ってしまう。
