「気安く千歳に触んないで。お前もアレになりたいの?」
いつもの軽薄さが微塵もないガチギレモードで遥風を睨みながら、グイッと背後を指し示す京。
視線を移してみると──
そこには、顔がボコボコに腫れたまま気絶した状態で倒れ込み、ナイロンテープでぐるぐる巻きにされている式町睦が転がっていた。
……なんか、思ったよりだいぶコテンパンにやられてて怖い。顔とかもう原型ないんじゃ、あれ……?
ちょっと引き気味の私をよそに、言われた本人の遥風は涼しい顔で。
そのまま、何も聞かなかったかのように私に向き直り──ニコ、と王子様スマイル。
「虫が喋ってる」
「ぶち殺すよお前」
キレる京、顔を逸らして吹き出す栄輔。あまり見ない構図を前に、ポカンとして固まってしまう。この三人、そんないじりできる仲だったっけ……?仲良くなったのかな?
「ひどいよねー千歳。俺いじめられてんのコイツらに」
「えーと……?」
「聞かないでいいよ千歳」
「虫は無視!!つって」
「「は?」」
「俺が悪かったっす今のは」
三人とも、仲良くなってんのか悪くなってんのか分かんないけど……とりあえず、栄輔が壊滅的なボケを言えるようになるくらいには距離が縮まったってことなんだろうか。みんなが楽しいならそれでいいんだけど、一体道中でどんなやり取りがあったのかは気になる。
