さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜




き……来たっ!!


興奮して身を乗り出す俺とは対照的に、義父は至極冷静にスクリーンを見つめて。


「……廃倉庫か」


ぽつり、と落とすなり──

即座にパソコンの電源を落とし、スタンド横にかけてあったコートをバサッ!と羽織った。


「そう遠くない。行こうか」


言い残して、くるりと踵を返す。

コートの裾がひらりと宙を舞い、まるで映画のワンシーンみたいに格好をつけて廊下へ出る彼。うおおお何それカッコよ?!イカれ野郎のくせにいちいち俺の琴線に触れてくるなこの人……!!俺も今度ロングコート買おっと!!


「ボケッとしてないで行くぞ早く」

「痛ったっ!!!」


突っ立っているのが邪魔だったのか、遥風に結構本気で蹴られて涙目になる。

ったく、言葉で言えよな……。

と、心の中でぼやきつつ。

俺は、遠ざかっていく彼らの背中を慌てて追いかけたのだった。