ガチャッ。
不意に開いた扉に、俺ら三人ともが硬直した。
その扉の先に立っていたのは──
あの日俺が見た、千歳くんの義父。
その隙のない整った容姿を前に、俺は思わず息を呑んだ。
完璧に造形された顔立ち。ガラス玉のように冷たく輝く、淡い色の瞳。感情の全く読めない表情でこちらを見下ろしてくるその顔は、やっぱりどことなく千歳くんに似ている気もするし、全く似ていない気もする。
何も言えずに硬直する俺たちを前に、その人は静かに口を開いた。
「……ああ。千歳にたかっている虫たちか」
おーーーーいおいおい遥風ぁ……。
こいつ本当に信用できんのーー……??
俺と京に一斉に咎めるような視線を向けられるも、言い出しっぺの遥風は涼しい顔でスルー。
それどころか、明らかに思想強そうな激ヤバ親父を前に、全く臆せず話しかけていく。
「まあ千歳の才能に寄生して倫理も尊厳も捨ててるお前が一番ゴキブリではあると思うんですけど、千歳の居場所に何か心当たりありませんか?」
その枕詞で千歳くんの居場所を教えてもらえると思ってるのマジか。これからものを頼む相手だってこと忘れてない?ちょっとくらいは猫被れよこのバカ。
真っ青になってガチ焦りする俺をよそに、千歳くんの義父と遥風はバチバチと火花を散らして睨み合っている。
おいおいおいどうすんだよこの修羅場……俺この二人の間に入るのクッソ嫌だよ?峰間京お前なんとかしろよ!
と、助けを求めるように京のいた場所に視線を移動させると。
──そこには誰も居なかった。
