さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



そして、数分後。


「……ここっすね」


そう言って立ち止まった俺の視線の先にあるのは──

まるで住宅街の風景から一軒だけ切り取られたみたいに異質な、巨大で近未来的な家。

ガラスとステンレスを多用していて、なんというか、最新技術で設計された常識ガン無視の超絶豪邸って感じ。

あの日こっそり覗き見た時、衝撃を受けたから間違いない。この宇宙船キャッスルが千歳くんの家だ。


「……親、資産王?」

「育ち良さそうだなとは思ってたけど……まさかのガチ姫?」


常識はずれで悪名高い遥風と京も、流石に圧倒されたような様子で勝手なことを言っている。

流石にコイツらも萎縮するか……とちょっと心配に思ったけれど、それも数秒で。

すぐに当然のように敷地内に入り込み、玄関にツカツカと歩いて行く二人。

あっ、あんま躊躇とか無いんすね……。

本日何度目になるか分からない価値観の相違を感じながらも、俺は慌てて二人を追った。