さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜




「栄輔生きてる?」

「あーこれ死んだな。峰間お前罰ゲームしないと」

「くっそ戻ってこい栄輔!頼む!」


数十分後、タクシーの中。

俺、冨上栄輔は、いまだにさっきのロープ滑下の恐怖を引きずって真っ青になっていた。

いや、だって、思ったよりギューンって勢いよく下がるから……もっとにじりにじりって降りてくる感じかと思ったら、ほとんど降下系のアトラクションだった。胃がふわってなる一番嫌いなタイプの。ただでさえ乗り物酔いしやすい俺にあの刺激はキツすぎるって……。

と、死にそうな顔色になっている俺とは裏腹に、遥風と京は余裕の態度で、何なら俺の両サイドから楽しそうにダル絡みしまくってくる。死んでくれ。

てか京とか、女の子に会うためだけに何回もアレやってるって、とち狂ってるだろ普通に。マジで俺、一生こいつらと仲良くなれねぇわ……早く千歳くんに会いたい。癒しが欲しい。

と、一人身体を折り曲げてメソっていると。


「お客さん、白綾北の住宅街に入りましたけど……そろそろ近いですかね?」


と、タクシーの運転手から声をかけられた。

ゆっくりと顔を上げると、窓の外にはすでに見覚えのある閑静な住宅街が広がっていて。

……千歳くんと一緒に帰り道を歩いた場所。

つまり、千歳くんの家が近いってことだ。

慌てて「はい!ここまでで大丈夫です!」と返事をすると、運転手さんは「了解でーす」と答えて車を路肩に停めた。