「じゃあその運動神経とやらを早く披露してよ。滑り下りやすいように自分のジャージ脱いで、手とロープの間に持って」
本当はもっと喧嘩したかったけど、生憎今はそんなことをしている場合じゃない。俺は超不本意ながらも京の指示に従い、ナイロン製のジャージを脱ぐと。
窓枠に足をかけ、ジャージ越しにロープを手に取った。
冷たい夜風がひゅうっと吹いて頬を撫で、背筋がゾワっとして手に汗が滲む。
うーーーわ、こっわ……。
この高さ、ガチで命に関わるぞ。飛び降りする人ってこんな気持ちなんだろうな……。
けど。
今の千歳くんは、俺なんかよりもっと怖い思いをしているかもしれないんだから。
──頑張れ、俺。男だろ。
自分に言い聞かせて覚悟を決めた俺は、ぎゅっ、とロープを強く握って。
ふっ、と窓枠の縁から足を離したのだった。
