そこで、俺はハッと最悪のシナリオに気づいてしまう。
これ、もしかして二人の怒りの矛先が一斉に俺に向いて、ヤンキー二人組にすり潰される……?
千歳くんを助けに行く以前に、自分の身が危ないパターン?
やばい、今日俺の命日か……。
と、一人ダラダラと冷や汗を流していると。
「……はぁ」
頭上から、苛立ちを吐き出すようなため息が落ちた。
思わず顔を上げると、遥風が舌打ちをして一歩退いたところだった。
「……栄輔の言う通りだよ。とりあえず今は千歳の問題が最優先だ」
『栄輔の言う通り』……?!
そんなセリフ、一生のうちで遥風から聞けるとは思っていなかったから、驚きすぎて変な声が出そうになった。
遥風が……俺の思考を認めてくれるようになった。俺のことを散々アホだって見下し続けてきた遥風が!!
と、そんな遥風の態度に京もふいっと興味を無くしたみたいに目を逸らして。
「ま、ここで話してて聞かれてもアレだし……部屋来なよ」
とだけ言い残すと、俺らの反応も待たずにさっさと歩き出してしまう。
「あっ、ちょ……!」
慌ててその背中を追いかけると、遥風もそれに続いた。
……多分このメンツ、俺が板挟みになるしかないやつだけど。
千歳くんを助けるためには、そんな甘っちょろいこと言っていられない。
千歳くんは毎日毎日、コイツらに絡まれまくって俺なんかより数十倍は辛い思いをしているんだから。
……がんばれ、俺。
自分に喝を入れるように、俺はひとつ大きく息を吐いたのだった。
