「っんだよ、急に……」
滲む痛みを堪え、強く睨み上げる遥風。
そんな彼を見下ろす京の瞳は、ぞくりとするほど冷たかった。
「……テメェがちゃんと自分の毒親殺しとかねぇからこんなことになってんだろ?」
なっ……なんだそれ、理不尽すぎんだろ……。
口をあんぐり開け絶句してしまう。
遥風も、流石に意味が分からないと言うように思い切り眉根を寄せている。
と、そんな俺たちを前に。
「……なーんてのは口実で、普通にお前に一発食らわせたかっただけ。あースッキリしたー」
さらりとした声でそんなことを言いながら、手癖みたいに髪をかき上げる京。
峰間京こいつ……遊びで千歳くんに絡みまくってるのかと思いきや、思ったより愛重いの?
思わず冷や汗を滲ませる俺とは対照的に、遥風は舌打ちをしてゆっくりと立ち上がり、キッと京を睨みつける。
「……それが許されるならこっちも一発いい?鬱憤溜まってんだよ」
「ほー。やれるもんならやってみー?」
二人の間で、とんでもなく大きな火花が散り始める。
──おいおいおいおい、さっきから一体何やってんだよ、こいつらは!!
俺は反射的に間に入って、二人の距離を引き剥がすように両手を広げた。
「そんなことやってる場合じゃねーだろ!!」
ヤケクソ気味に必死に叫ぶ。大声出して明日の本番で喉潰れたらやばいけど、だからって声を荒げないわけにはいかなかった。
「今お前らがこうしてる間にも、千歳くんがどんな状況になってんのか分かんないんだぞ!戦うべき奴は他にいるだろーが!!!」
と、勢いのままに言い切ると。
──沈黙。
しばらく、何の言葉も降ってこない。
……あれ、地雷踏んだ?
