さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……っ」


ちょっと嫌な予感がして、ドアを開けたまま部屋の中を振り返る。


最初にその異変に気づいたのは、遥風で。

ほぼ同時に、峰間京も息を呑んだ。


視線が、合う。


そして、三人とも何か言うより前に──

ほとんど同時に音の方へ駆け出していた。


寮の部屋が向かい合う中、静かに伸びる廊下。


その廊下をまっすぐ走って、曲がり角を曲がったところに──

千歳くんのスマホが、ポツンと落ちていた。


誰にも取られることなく、ただ虚しく鳴り続ける着信音。

その光景を前に、思わず背筋が戦慄した。

……どういうこと?

ただ、千歳くんがここにスマホを忘れていっただけ?

でも、千歳くんに限ってそんな不注意をするとは思えない。

忘れ物ばっかしてる俺とは違って、いつも慎重できっちり確認する人だから、今までで一度も忘れ物なんかしていなかった。

って、それじゃ、なんでこんな……スマホだけ取り残されてる、みたいな。