数十分後。
私は、栄輔の部屋のラグの上に腰を下ろし、YouTubeのコンテンツ撮影をしていた。
そして、その両隣には──
当然のように、遥風と京が座っている。
「はははお前何回スられてんだよ待ち合わせしてんのか?」
「とか言ってるお前も雑魚くね?赤マスしか止まってないけど大丈夫?」
「お前社長の才能ねぇよ畳め今すぐ」
目の前のテレビ画面には、サイコロを振って資産を増やしたり、謎の化け物に財産を吹き飛ばされたりする某すごろくゲームの画面。
その前で、さっきから遥風と京はお互いに嫌がらせカードを叩きつけ合い、陰湿な足の引っ張り合いを繰り広げている。
……どうして、こんな状況に……。
思い返せば、数十分前。
完全に窮地を脱した気で、栄輔の部屋の扉をノックしたのと同時に──
ふっ、と目の前に影が落ちて。
「あーやっぱ他の男の部屋じゃん」
「冨上栄輔?椎木篤彦?多分前者だと思うけど」
その声を聞いた途端、背筋に冷や汗が伝った。
恐る恐る振り返ると──
案の定、背後に立ち塞がるように立っていたのは、遥風と京で。
どうやら、私がのこのこ目的地にやってくるまでずっと後をつけられていたらしい。
普通にホラーすぎて、悲鳴が出そうになった。こういう時だけ結託して完璧な尾行してくるの、本気でやめてほしいです……。
と、そんな絶望の空気の中で、ガチャッと扉が開いて。
「あ!千歳く……ん……」
ぱあっと嬉しそうに私を見下ろしていた視線が、徐々に上に上がって──
そして、苦虫を噛み潰したような表情に変わった。
「げぇ……」
ごめん、栄輔……。
