どんな形であれ、助け舟を出してくれた栄輔に心から感謝しつつ、私はバチバチと火花を散らしたままの二人に声をかけた。
「なんか私、YouTube撮んなきゃいけないみたいだから行くね……」
私の言葉に、舌戦を続けていた遥風と京はサッとお互いから視線を外し、同時に私を見た。
「……どこに?」
まずそう聞いてきたのは、遥風だった。
……冨上栄輔の部屋って正直に言ったら、阻止される未来しか見えない。
そう悟った私は、ちょっとだけ首を傾げてはぐらかした。
「まだ詳しく聞いてないんだけど……公式の方から、急ぎでって連絡来てて。個人でショートとか撮るとこかな」
『公式』『急ぎ』『個人で』。
できるだけ止めづらい単語を並べながら、ちょっと緩んだ京の腕からするりと抜け出し、ソファの上の自分のスマホを回収。そのまま、そそくさとその場から離れる。
もともと、YouTubeコンテンツは撮影班からの召集が多い。公式が呼んでいるって形なら、遥風も京も、流石に強く引き止めることはできないはず。
栄輔の機転のおかげで、ギリギリのところで修羅場から生還することができた。本当、栄輔には足を向けて寝られないな……と、思わず安堵のため息をこぼす。
そう浮かれて、後ろを振り返りもしなかった私は、全く気づけなかった。
自分の背後で遥風と京が、何か示し合わせるみたいに視線を合わせていたことに──。
