さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



ヴーッ。

ソファに置いたままだった私のスマホが、低く振動した。


そのロック画面に表示されたのは──

栄輔からのLINEメッセージ。


『今から俺の部屋でYouTubeコンテンツ撮影するんですけど、来れますか?』


ちら、と視線だけ動かしてそのメッセージを確認し、ちょっと息を呑んだ。


『YouTubeコンテンツ』。


エマプロはシーズンごとに公式のYouTubeチャンネルを持っていて、そこでショート動画やステージビハインド、デイリーブイログ(参加者たちの日常コンテンツ)などを配信している。

ショート動画で新規層を取り込み、長尺の裏側動画で既存ファンをさらに定着させる狙いだ。私はステージビハインドには多く映っていたんだけど、デイリーブイログの方にはあまり参加することがなかった。


と、そんなコンテンツ撮影に──今、この絶好のタイミングで、初めて誘われた。


あまりにも、完璧すぎるタイミング。まるで、私がやばい状況に陥っているのをどこかで見ているみたいな──

そう思った私が、まさか、と思ってラウンジの入り口付近の方に視線を向けてみると。


そこには──壁に身を隠すようにして、栄輔が立っていた。

私の視線に気づいた彼は、片手を口の横に添え口パクで『逃げてー!』と必死に訴えかけてくる。