と、そんな私を引き留めるように──
「まだ話終わってねぇんだけど」
京に掴まれているのと反対側の手を、遥風が掴んだ。
結果、物理的に二人の間で取り合われるような格好になる。
……思えば、こうして遥風と京が直接対峙したことは初めてで。
今まで巻き込まれた全ての火花が可愛く思えてしまうくらい、今回のバチバチは本気で流血沙汰に発展しそうな危うさがあった。
「……あんまり千歳にがっつかないでくれる。怖がっちゃうから」
言いながら、私を背後からギュッと抱き込んでくる京。
そんな京を前に、遥風は完全に『お前が言うなよ』とでも言いたげな顔になった。
「お前、自分も千歳にキス強要しまくってたの忘れてる?記憶喪失?」
「あー俺実は病気でさぁ。千歳にちゅーしないと死んじゃうんだよね」
「あっそ死ねよじゃあ」
適当抜かす京に、遥風は明らかにイライラを増幅させ、私の腕を掴む手に力がこもる。
京も京で、ぎゅう……とキツく私を抱きしめて離そうとしない。
一ミリも譲歩しようとしない二人に挟まれ、私は一人パニックに陥っていた。
やばいやばいやばい、史上最悪の修羅場だ……。両者少しも譲る気のない、殴り合い上等のヤンキーマインド。
このままだと大騒ぎになって関係者やら参加者やらにバレてしまう。
何か、何か逃げ出す口実さえあれば……!!
と、必死にそんなことを思っていた──その時。
