さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



遥風に異性として愛されるのは、正直、嬉しい。私が彼に少なからず惹かれているのは、きっと事実なんだと思う。


だけど。

それ以上に──私は、遥風のファンで、彼の夢を応援する戦友で。

自分が彼の一番の足枷になってるって、分かってる。


だから、私個人の感情で彼の人生にリスクを負わせるようなことは──絶対に、あってはならない。


「っ、遥風……」


あまり力の入らない手で、なんとか押しのけようと遥風の肩に手をかけた──

その時だった。


「……っ?!」


目の前の遥風が、バッと反射的に私から身を引いて。


それとほとんど同時に──

私の鼻先を、何か豪速球のようなものが通過した。


シュッと目の前を掠める風の気配のあと──


バゴンッ!!!


とんでもない衝撃音を立てて、何かが向こうの壁に激突して落ちた。


…………え?


一瞬、何が起こったのか理解できず硬直して。


恐る恐る視線を壁側に向けると──

落ちていたのは、水が満タンに入ったペットボトル。


…………。


今飛んできたのって、これ……??

水が全部入っているとはいえ、ただのペットボトルからあんな音出る……??

当たったら完全に脳震盪不可避のやつじゃ……。


状況をうまく理解できずに、冷や汗を滲ませ、絶句していると。