その後。
私たちは帰国して、着々と本番への準備を進めた。
LUCAトレイニー合宿を経て、それぞれのメンバーがそれぞれの課題を見つけ成長できたおかげで、ただでさえ順調だったレッスンは今まで以上にスムーズに進んで。
衣装も舞台構成もとっくに決まり、気づけば本番前日となっていた。
今日は、朝7時からぶっ通しでリハーサルをして──終わったのは、午後19時近く。
普通に労基でしょ、これ……。
内心ぼやきながら、クタクタになった身体でドサリと控え室のソファに腰を下ろす。
……今回こそは、しっかりと寝て本番に挑まないといけない。
二次審査、三次審査と続けて睡眠不足で本番に挑むことになってしまっていた私だけど、今回は決してそんなことは許されない。
だって、今の私は既に崖っぷち順位にいて、今回ヘマしてしまったら脱落だから。
この四次審査は、前回までと違って──私の生死をかけた、絶対に妥協できない舞台。
明日に備えて、さっさと自室に戻ってシャワー浴びて寝るか……。
と、ぼんやりそんなことを考えていた、その時。
目の前に、ふっと影が落ちた。
「千歳」
頭上から降ってきた、聞き慣れた声。
顔を上げると──そこに居たのは、遥風。
ステージ用に完璧にセットされた、桁違いの破壊力を誇るビジュアル。
私の逃げ場を塞ぐように、ソファの背もたれに手をついて、甘く微笑みかけてくる。
「今日この後暇だろ?あのさ──」
ちょっと首を傾げ、他の人には絶対向けないレベルの甘い声音で何かを言いかける遥風。
──けれど。
私は反射的に遥風の腕の下からくぐり抜け、ひったくるように荷物を掴んで物凄いスピードでその場から走り去った。
