さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



考えれば考えるほど浮き彫りになる、昨日の自分のとんでもない無責任さに、私は何も言い返せずに俯くことしかできない。

と、そんな私を、翔はしばらく無言で見下ろしていたけれど──


数秒後、苛立ちを吐き出すように大きくため息を吐き、グシャリと髪をかき上げる。

そして。


「このまま線引きせずにいるなら──本気で辞退させるからね」


耳元。

苛立ちを押し殺したような低音で、そう落とされて。

思わず、呼吸が止まった。


……本気だ。


この人は、番組を──グループを守るためなら、甘い私を切り捨てることなんて少しも厭わないんだ。


「っ……」


翔はそれ以上何も言わず、冷たく一瞥して、踵を返す。

その背中が見えなくなるまで、私は一歩も動けずにいた。


──私が、いることで。

私が守りたかったはずの仲間や、彼らが追いかける夢を傷つけてしまうかもしれない。


その可能性を、ようやく真正面から突きつけられたみたいだった。


……このままじゃダメだ。

ちゃんと、変わんなきゃ。


流されるだけじゃなくて、ちゃんと距離を保って。

大切な人の邪魔にだけは、ならないようにしないと……。


大きく後悔しながら、私は胸の中に張り詰めていた空気を、ゆっくりと吐き出すのだった。