さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



ド正論にダメージを喰らう私に構わず、翔は容赦無く追い討ちを突き刺してくる。


「お前ずーーっと誰かしらに迫られてるけど……何してんの?バカなの?ここまでくるともうお前から誘惑してるとしか思えないんだけど。自分が男好きする顔してるって自覚してんならそのぶん自衛したら」


全てのワードが一つ残らず綺麗に心臓を貫通していき、例の如く一瞬でHPがゼロになる。


……分かってた。翔が私のことを心底嫌っているのは、痛いほど分かってた。

けれど、今までの私はそれでいいと思ってた。だって、翔が私を嫌ってくれる方が、私自身の計画にとって都合がいいから。


でも──彼の氷点下の態度を前にして、そろそろ私も『そういう問題じゃない』って心の底から認識できてきてしまった。

私個人が勝手に周囲に嫌われるぶんには、どうでもいい。けれど、私の振る舞いでリスクが他の参加者に飛び火するのが、一番マズいのだ。


例えば、さっきのような遥風との異様に距離の近い絡みを、週刊誌なんかにすっぱ抜かれたとして。

そうなった時に、私という存在のせいで遥風が世間やファンからどういった目で見られることになるのか、きちんと考えなければいけない。


側から見た時に、私という存在がどれほど余計な噂や誤解を生んで、番組にとっての『火種』になり得るのか。

それを分からず口説きに流されまくって、真面目にデビューを目指す参加者たちや番組自体に泥を塗るのは──

死ぬほど無礼だし、ナメてる。