さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


小さな緑色の丸の中、彼からの未読メッセージ件数は、31件。

そういえば私、京にアメリカに行くなんて言ったら絶対に反対されるからって、何も言わずにここに来てしまったんだった。

現地に着いてからわけを話そうかなと思っていたのに、初日からずっと余裕が無さすぎてすっかり忘れてしまっていた。


も、申し訳なさすぎる……。


全身の血がさぁっと落ちていくような感覚の中、私は恐る恐るトークルームをタップする。


すると。



『今どこ』

『皆戸遥風といるんでしょ』

『おい』

『既読つけろよ』

【不在着信】

『通知切ってる?』

【不在着信】

【不在着信】



ブチ切れメッセージの数々が画面いっぱいにずらりと表示され、思わず声が出そうになった。


──やばいやばいやばい、やったかも。


背中にじわりと嫌な汗が滲んで、呼吸が浅くなる。

練習中邪魔だからって、通知系を全部切ってしまっていたのがまずかった。

着信も何度か来ているけれど、時差のせいか私が寝ている時間ばかり。

これは早急に連絡を取ってわけを話さないと、帰国した時に死ぬほど詰められるの確定だ。


今の時刻は、朝7時半で──計算してみると、日本は真夜中。こんな時間に掛けるのは非常識かもしれないけど。

一応、連絡を返そうとした意思は見せておいた方がいいよね。


そんな思考のもと、私は画面右上の電話のマークから音声通話をタップした。