自分に必死に言い聞かせながら、布団から出て、さっさと身支度を始める。
脚に残る明らかに変な筋肉痛に、昨日の夜のことを思い出しそうになるけれど──考えない。考えるな。
ざっと部屋のシャワーを浴びた後、ウィッグを被って、体型補正の下着をつけて、アイロンで無造作風な毛流れを作って。
肩落ちシルエットのロンTの上から、体温調節用にルーズなカーディガンを緩く羽織り、ボトムスは同系色のヴィンテージデニム。首元が少し寂しいので、カジュアルなデザインのネックレスも合わせる。
一応ちゃんと洗ったものの、なんとなく身体に遥風の匂いが残っている気がして落ち着かなかったので、珍しく香水も振ってしまった。
そうして、変な方向に行きそうな思考を身支度に散らして──
「……よし」
鏡の中に立つ自分に、大丈夫だと言い聞かせるように声に出した。
……大丈夫、いつも通りに見える。
元々、ポーカーフェイスでいるのは得意な方だ。不必要に気負う必要はない。
胸のざわつきを無理矢理抑えるようにして、私は荷物をまとめ、部屋を出た。
なんだか落ち着かなくてやけに早歩きになってしまったせいで、空港へのバスが出るバスストップに着いたのは予定よりだいぶ早くなってしまった。
ポケットからスマホを取り出して、時刻を確認する。
……7:30。集合時間は、確か8時だったかな。
確認しよう。確か、『桜嵐』チームのグループラインに事前にスケジュールが送られてきていたはず……。
そんな考えのもとで、久しぶりにLINEのアプリを開く。
──と、その瞬間。
ヴーーッ、と手の中のスマホが振動した。
そして、その画面に溜まった通知数を目にした瞬間──息が、止まる。
『京
返信して ㉛』
…………あっ。
………………やば。
