さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「嘘つけよ。前スタジオでめちゃくちゃキスしてたくせに」


次いで告げられた爆弾発言に、私は思わず目を見開いた。

スタジオでキスって──もしかして、翔に怒られてガン萎えしてたあの時のこと?


京はいつでも積極的だけれど、あの日は輪をかけてグイグイ来ていた。一体どうして、と怪訝には思っていたけれど──

まさか、私とのキスを遥風に見せつけるためだったとは。


京の計算高さへの呆れ、遥風にあのキスシーンを見られた恥ずかしさなんかが相まって、頭がくらりとしてくる。


「その……あれは、結構無理やりで」


あまりの気まずさに、視線を逸らしながら答えるけれど。

遥風は、そんな私の顔を覗き込むようにして首を傾げてきた。

さら、と流れる前髪の下、長い睫毛に縁取られた瞳が、これ以上ないくらい冷たい光を帯びる。


「…………遊ばれてるわけじゃねぇよな?」


怒りを押し殺すかのような、低い声。

至近距離、見透かすような鋭い視線に射抜かれ、うっと息が詰まった。


……なんで、そんなに怒ってるの。


もし、仮に峰間京に遊ばれてたとして──


そっちだって。

その綺麗な顔で、女の子と遊びまくってるくせに。


「……人のこと言えないでしょ」


ぽつり、と。

揶揄うようなトーンで言おうと思った言葉が、思ったよりも拗ねたような色を孕んで落ちた。

不機嫌そうに細められていた遥風の瞳が、不意を突かれたように見開かれる。

あ、ちょっと怒ってるみたいになっちゃった……と、私は慌てて口調を調整して続ける。


「雪永さくらとキスしてたの見たよ?遊ぶならもっと気をつけ……」

「切った」


軽く笑い飛ばそうとした私に、食い気味に遥風の言葉が割り込んだ。


……え?


驚いて硬直する私に、遥風は静かな声音で続ける。