遥風は、そんな私の言葉に「嘘つけ」と少し揶揄うように笑った。
「もし千歳が良かったとしても、お前の彼氏が許さねぇだろ」
さら、と息を吐くように落とされたその言葉を聞き流しかけて──
思考が停止する。
ん?
ちょっと待って、今なんて……?
「……彼氏?」
怪訝に眉を寄せて首を傾げると、遥風がぴくりと動きを止めた。
『マズった』とでも言うように顔を歪め、気まずそうに視線を逸らす遥風。
困惑したままの私に、彼は吐き捨てるように言った。
「……峰間京だよ。付き合ってるもんな、お前ら」
言葉の意味が、一瞬理解できず。
数秒間、口を半開きにして、硬直した。
──なに?
もしかして遥風……私の彼氏が峰間京だって誤解してる?
「……い、や。ちょっと待って。違う違う違う、違うよ」
「え?」
慌てて訂正する私に、今度は遥風が怪訝そうに眉根を寄せた。
なんでそんなことになってるのかは分からないけど──とにかく、そのデマが広まるのは色々と面倒臭い。
「付き合ってないし、そもそも私は彼氏いないから」
「…………は?」
信じられない、とでも言うように目を見開く遥風。
