流石に、ステージに立ってブーイングを前にしたら、不安とか、緊張とか、湧いてくるのかなって思ったけど──
そんなことも、全く無くて。
ただ、淡々と。
出された課題を一つ一つ、解いていく感覚。
それは例えるなら、万全の準備をして挑んだ数学の試験なんかに少し似ていた。
出題された瞬間に、『これは解ける』と思って、自動的に脳内が動き出す。
手がほとんど勝手に動いて、解答欄が埋まっていく、みたいな……そんな感覚。
なんか……何かができるようになる時って、いつもこんな感じだよね。
努力を続けても、何も変わらない期間が続いて。
ああ、もうダメかもしれないって諦めかけた時に、別人みたいに伸びる。
成長曲線は一定じゃないって話はよく聞くけど、結構それ、本当だと思う。
ただ──
この異常なゾーン状態の代償は、身体的に未熟な私にはまだ抱えきれないらしいけれど。
「っ……」
そろそろ立っているのも辛くなってきて、私は思わずその場にしゃがみ込んだ。
限界状態の身体を諸々の神経伝達物質で麻痺させ、無茶させてしまったおかげで、この有様。
二次、三次から私はずっと、本番での出力調整をミスり続けて電池切れしているけれど──
今回のは、今までの中でも一番と言っていいくらい辛かった。
そろそろいい加減学習しないと……。
そんなことを思いながら、脳を捻り潰すような激痛に立ち上がれず、壁に体を預けるようにしてしゃがみ込んでいた。
