さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「Performing in LA meant a lot to me. Thank you.(ロサンゼルスでパフォーマンスできて幸せでした。ありがとう)」


わずかに口角を上げ微笑んだその表情は、この世のものとは思えないほどに可憐で。


ほんの数秒前まで、散々ステージから降りろと罵声を浴びせていたはずのその存在に──

今はもう、全ての人が虜になっていた。


会場の空気が、熱を帯びていき──

数秒後。


ようやく、歓声が爆発した。

拍手が雪崩のように湧き上がり、割れんばかりの喝采が会場を包み込む。


このパフォーマンスは──しばらくセンセーションを巻き起こすだろうな。

彼らをLUCAに送った裏の目的、エマプロの海外広報が上手くいきそうだ、と内心でほくそ笑んでしまう。


やはり、榛名千歳を見込んだ俺の読みは正しかった。

やれやれ、俺の慧眼には我ながら頭が上がらないぜ……。


そう自画自賛しながら、俺はちら、と隣に座った睦に視線をやる。


──さて。

式町睦よ。


お前は、これからどうする?


遥風の足元にも及ばないと鷹をくくっていた榛名千歳に、こんな強大な才能をまざまざと見せつけられて。


果たして、頭に血が昇りやすいお前が黙っていられるのか?

静まり返る睦の横顔が、焦燥感に歪むのを横目に──

俺は、心の奥底で静かな達成感を噛み締めていた。



──ああ。

全てが、俺の思惑通りだ。