さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


ここまで見せつけられると、もう笑うしかない。


アジア人男性のひ弱な遺伝子が、性的魅力という土俵で欧米に敵うわけがないって──

そんな現実を、まざまざと突きつけられてるみたいだ。


熱狂に包まれるステージの中央、ローガンはジャケットを翻し、色気たっぷりに目を細めると──
硬質なパーカッションのタイミングで、右手を突き上げた。

たった一つの動作で、会場が息を呑む。


──王が、命令を下すかのように。

天に差し出した腕を、まるで指揮をするかのように一振りした瞬間。


それに呼応するように──

先ほどのトラックより数倍層の厚いブラスバンドが弾けた。



本格的な、ショーの幕開け。

一歩踏み出すと同時に、まるで音を操るかのような──


圧巻の、ダンスパートへ。


歌唱の迫力はそのままに、ティンバレス、ピアノ、サックス……音を完璧に『体現』する、技巧と衝撃の極点。

計算し尽くされた体の角度、目線、そして呼吸まで。

全てが最高級、会場の熱を臨界点まで強引に引き上げる。


「Could you at least pretend to be out of breath, you ridiculous alien...?(全く……せめて息切れのフリくらいしろっての。ほんと見事な宇宙人だよ)」


呆れたように、それでいてどこか誇らしげに呟いたのは、LUCAのベーシッククラスのダンストレーナー、Mr.D。


……彼の言う通り、ローガンの技術はほとんど異常と言っていいほどだった。


絶対に生歌をさせる気のない、殺人的な難易度の振り付け。

にも関わらず、彼の歌声に揺らぎはないどころか、ヘッドセットマイクは息切れらしい雑音ひとつ拾わない。


天鷲翔と同じだ。


どう足掻いても勝てない──

そう確信してしまうレベルの、理不尽な実力。