人外じみた声量。
突き抜ける高音域。
ブレることのない正確さ。
日本のアイドルのか細い声とは比較するのも烏滸がましい──
声帯の薄いアジア人には再現不可能な、桁違いに『太い』ボーカル。
その最初の一節のみで、この世界の主導権は完全にローガン・ヒューズの手に渡っていた。
《Track Title: La Marca》
『灼熱の王』をテーマに作られた、情熱的で力強いラテンファンク。
ローガンの色気と躍動にこれ以上ないほどマッチする、その豪華なサウンドが特徴的だ。
スペイン語で「刻印」や「焼き印」を意味すると言うその題名通り、観客の心に一生消えない衝撃を焼き付けるかのようなその歌い出し。
一瞬にして湧き上がった空気に満足したように──
ステージ上のローガンは唇の端を上げ、一歩前に踏み出す。
「Yo L.A. Let me hear you SCREAM!!」
パーカッションと派手なブラスのみが重なるトラックを背に、手に持ったマイクを高く掲げ、サングラス越しに観客席を射抜くように見渡す彼。
呼応するように、会場が爆発的な歓声を上げる。
──うわ。
すげぇな。
どう足掻いても勝てないレベルで、カッコいい。
同性かつライバル側の人間であるとはいえ、本能的に惹かれてしまう。
しなやかな筋肉のついた長身、太陽を反射するサングラス。
ラテン系特有の彫刻のように整った横顔、無造作にかき上げられたブリーチのきいた黄金色の髪。
目眩がしてしまうような、当てられてしまいそうなほどの色気が、ガツンと音がしそうなほどの衝撃と共に押し寄せる。
