こういった悪質な工作は、今まで何度もやられてきた。
けれど、毎回ギリギリのラインを突いてきて証拠を残さない抜け目なさと、その権力のせいで真っ向から裁けない。
クソ野郎が。
……それと、ルシもルシだ。
彼は、おそらく皆戸遥風が移籍しようがしまいがそこでまで興味は無いはず。
けれど。
普通に、千歳の猫耳メイド姿が見たくてたまらないのだろう。
このバトルの明らかな不公平性を知りながらも、わざとこのまま続けさせようとしているようだった。
コイツは不純な動機で最も強い力を発揮する人間だ。こうなってしまうと、いくら旧友とはいえ、外部の人間である俺にはどうすることもできない。
今回は少々計算を間違えたな……。
少し悔しく思いながら、再びステージ上に視線を向ける。
ステージ中央、スタンバイしたローガン・ヒューズに、会場は一瞬、息を呑むような静寂に包まれる。
そして──数秒後。
『¡Marca mi nombre en tu piel!』
空気を切り裂くような、爆発的なブラス音と共に──脅威的な歌唱が、胸を貫いた。
