パフォーマンスバトルの結果を決める、運命のファイナルマッチ。
先攻でステージ上に姿を現したのは──
今回のバトルの目玉ともいえる人物。
ローガン・ヒューズだった。
ルシアン・クロフォードの秘蔵っ子。LUCA屈指のトップトレイニー。既にデビューをしていてもおかしくないほどの知名度と実力を持つ彼だが、ルシの方針で未だに出し惜しみをされている。
そのため、生でステージを見られる機会が少ない分──彼の実力をこの目に焼き付けんと、噂を聞きつけた周辺の住民たちや芸能記者たちなどがこぞって駆けつけていた。
そのため、彼の登場と共に炸裂したのは、空まで突き抜けるような、爆音のような歓声。
……完全に、ローガンのためのライブだな。
そう思わせる異常なまでの熱狂が、空気を一瞬にして塗り替えていく。
そんな様子を──
俺、巫静琉は、後方の本部テント席から黙って見つめていた。
このバトルでこちらが負ければ、うちの大切な商品をLUCAに差し出すことになるだけでなく──
コイツを野放しにすることとなる。
俺の隣に、涼しい顔をして腰掛けている式町睦。
先ほどの栄輔へのブーイングは、確実に彼の差金だろう。
観客席に自分の息のかかった奴を何人か紛れ込ませて、悪意のあるデマを無差別に拡散する──そのデマが会場全体に伝播し切ったタイミングが、ちょうど栄輔の出番だった。
おおかた、そんなところだろうな。
