ステージ上の簡易モニターが──動き出す。
《LUCA TRAINEE CAMP Performance BATTLE:Result》
鮮烈なエフェクトと共に表示された、シンプルな文字列。
その下部に、ゆっくりと──ファーストマッチの結果が浮かび上がる。
Sho Amawashi | 4,275 scores
Ewan Sinclair | 2,228 scores
WINNER: Sho Amawashi
──圧勝。
モニターの数字が表示された瞬間、会場が爆発的な歓声に包まれる。
ほんんど二倍近くの圧倒的な差をつけ、危なげなく勝利を収めたわけだけれど。
……俺の心は、変わらず静かなままだった。
嬉しさも、安堵も無い。
だって、こんな結果は最初から分かり切っていた。
俺のパフォーマンスが、少し才能があるくらいの普通の人間に劣るわけがないのだ。
生まれついた日から、いや、それ以前から、エンタメのマーケットで『勝つ』ためだけに何もかもを与えられてきた俺は──
最初から、土俵が違うのだから。
……だから。
頼むから……ユアン君は、そんなに俺に本気で噛み付いてこないでほしいんだけど。
「Jesus, could you maybe sweat or something?! You busted-ass, cheat-code-using, monster piece of trash!! Freakin’ psycho!(お前ちょっとくらいは汗かけよ!!このぶっ壊れチート化け物クソ野郎!!イカれキチガイ!!)」
涙と鼻水で綺麗な顔をぐっちゃぐちゃにしながら、声を荒げてありとあらゆる罵詈雑言を豪速球でぶん投げてくるユアン。
自分の音楽に美学を持っているこういうタイプは、自分のパフォーマンスに高いプライドを持ってるから負けた時にダメージを受けやすいとは知っていたけれど。
まさか、ここまで盛大にブチ切れられるとは……大人気なさすぎたかな?
いや、でもこのバトルではファーストマッチでの勝利が必須だったから仕方ない。
ユアンは才能に驕って人間性が色々と未熟なところがあったから、今回の結果を受けて自分の実力を見つめ直して、さらに良いパフォーマーになれるように頑張ってほしいところ。
と、そんなことを思いながら、スマホに視線を落として聞き流していた、その時。
