さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


技術は、一朝一夕でどうにかなるものじゃない。

今さらどう足掻いたって、私のダンススキルが爆発的に上がるわけもないし、急に表現力豊かになるわけでもない。

今まで私が積み重ねてきたのは、優等生としての模範的な技術ばかりで。

その中身は──

ずっとずっと、空っぽだった。


もう既に体に染み付いてしまったその表現を、今さら変えられるわけがない。

……だったら、 変えるべきは、曲。

そしてコンセプトのほうだ。

無理に変わろうとするのではなく、今の私のままで、最大限戦える形にすべき。



──とりあえず、曲を変えるのなら、ダンスは捨てざるを得ない。

本番前日に新しいダンスを覚えようなんて、私のスペックじゃ到底無理な話だから。


けれど歌だけなら、一夜で完成させることも、不可能じゃない。


じゃあ──どんな曲なら?

他の人には真似できない、私の特性を活かせる曲がいいけど……そもそも、私の特性ってなんだろう。


可愛さ?

ってことは……『Sugar⭐︎Dream』とか?


そこまで考えて、思わず顔をしかめた。

いやいやいや、ないない。ないです。
あんなぶりっ子曲やったら、舐め腐ってんのかってぶっ飛ばされる未来が目に見える。

そもそもあれがウケたのは、男の娘文化が浸透してる日本だからだろうし……真面目に考えよう。