さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



──なんなの、あれ。

あんな状態の息子を前に、あそこまで無関心を貫けるなんて。

ほとんど身体の限界は寸前みたいな遥風を前に、何も思わないんだろうか。



絶対に、許されるべきじゃない。



「……助けなきゃ」



空っぽだった私の心の奥に、ようやく、小さな火が灯った。



このまま何もせずにぼーっとして明日を迎えることなんて、死んでもできない。

──とはいえ、きっと今までのやり方じゃダメだ。


ただただ焦燥感に飲まれて、我武者羅に練習を繰り返して。

そんなことをして、何になる?


さっきまでの私は、必要以上に自分を責めることにエネルギーを割きすぎていた。


思考を放棄したら、私の強みなんか何もなくなる。

追い詰められて、ぐちゃぐちゃになって、いつものペースを完全に失っていた──

だから、空回りしたんでしょ。


私は思考を切り替えるように、一つ、大きく深呼吸をして。

静かに目を閉じた。



──考えろ。


頭を、回せ。



いつもそうして、窮地を切り抜けてきたみたいに。

遥風を本当に救う気が私にあるのなら、もっと効率的で効果的な方法を探せるはずだ。

どうしたら、少しでも勝率を上げられる?