「……あ」
頬が、引き攣る。
今、一番この姿を見られたくなかった人。
きっと彼は、私がこんな取り乱しているところを見たら──
責任を感じてしまうだろうから。
遥風は何も悪くないのに、私のせいで、彼が色々と考え込んでしまうことだけは絶対に避けたい。
そう思った私は、慌ててぐいっと涙を拭い、取り繕って微笑んだ。
「お疲れ」
できるだけ普通に、心配させないように。
いつも通りのトーンで言ったはずだけど──
遥風は、やけに苦しげに表情を歪めた。
……いや、うん。そりゃそうか。
もう、顔上げた時点で泣き顔晒しちゃったんだから、誤魔化せないよね。
そんなことも分からないなんて、私、本当にバカになってる……。
ちょっと気まずくなって目を逸らす私に、遥風は、無言でツカツカと歩み寄ってきた。
一歩、二歩。
近づく距離から逃げたいけれど、今の状態の身体じゃできるはずもなく。
遥風は私の目の前に来ると、その場に座り込み、私と視線の高さを合わせた。
そして。
「なぁ。俺に対して──申し訳ないって思ってる?」
真っ直ぐな視線。長いまつ毛に縁取られた綺麗な瞳が、じっと私を見つめる。
こんなにも綺麗な瞳に、ぐちゃぐちゃで限界の自分が映っていると考えると恥ずかしくて居た堪れなくて、私は思わず目を伏せた。
「……うん」
ぽつり、と消え入りそうな声で落とす。
すると、頭上から──少し呆れたようなため息が落ちた。
「……そ。じゃあ、これから俺がすることも許せよ」
え、と思ったのと同時に──
グイッ!と勢いよく身体を引き寄せられて。
気づいた時には、遥風の胸に抱きすくめられていた。
