「ヘイ、ユアーボーカル……イズ、違うワズ、ベリーグッド!マイネーム イズ エイスケ!ナイストゥミーチュー」
カタコトながらも、教科書英語を駆使して、人の良い笑顔で握手を求める栄輔。
そんな彼を、ユアンはちらりと一瞥すると──
握手に応えることなく、ふいっと顔を背けた。
ガン無視され、栄輔の顔が目に見えて哀しそうになる。すっ……と無言で手を戻すその姿が、なんだか痛々しい。
彼に話を全部通訳してあげたいけれど、そんなことをしたら彼からの好感度が上がってしまう。私は良心が咎めるのを我慢して、目を逸らした。
と、そんな私の代わりに、栄輔に皮肉っぽく言ったのはローガン。
「Sorry, but he only talks to musicians worth his time. (悪いな、あいつが話すのは、時間を割く価値のあるミュージシャンだけなんだ)」
「……あっ、イエス。サンキュー!」
一拍置いて、無理やり愛想笑いを浮かべる栄輔。
絶対に意味が分かっていない様子の彼に、見かねた翔が「認めたやつとしか仲良くしないんだって」と通訳する。
そこでようやく栄輔は、「あ、俺は認められなかったのか……」と再びショックを受けていた。
ズーンと落ち込む栄輔に対し、今度はジャックスが、くすくすと笑いながら励ます。
「Don’t worry about it. Ewan basically thinks anything that’s not his own music is just noise.(まぁ気にすんなって。ユアンにとっては自分が作った音楽以外は全部ノイズみたいなもんだから)」
自分の音楽以外はノイズ……って、確かにめちゃくちゃ思ってそう。
その極端な傲慢さと自信、音楽以外で生きていけない天才の典型例って感じ……。
