「Hey, you know he’s still hung up on it, right?(なぁ、知ってる?あいつ、まだ引きずってんだぜ)」
「…On what?(……何を?)」
その曖昧な言葉に思わず聞き返すと、彼はローガンに聞かれないようにさらに距離を詰めてきて──
そのまま、耳元スレスレで愉快げに話す。
「Dude…on Sho ditching him and flying back to Japan for some old buddy.Now he’s all fired up, man. He wants to prove that the ‘friend from Japan’ Sho picked over him is way below his level, just to make Sho’s choice look stupid.(翔が自分を置いて、日本の古い友達のために帰国したことだよ。で、今あいつはめちゃくちゃ燃えてる。翔が自分を差し置いて選んだ『日本の友達』が、どれだけ格下かを証明しようとしてるんだ──翔に、自分の選択がバカだったって思わせるために)」
面白いよな、とくつくつと笑うジャックスの横で、私はというと──さぁっと血の気が引くような思いだった。
彼の話を聞く限り、ローガンの方にも、こちらに負けず劣らずの強い覚悟があるということ。
彼が私たちのことをナメたまま、遊び半分で油断して来てくれたらまだ僅かな勝機はあったかもしれない。
けれど──彼の話を聞く限り。
ローガンは、本気だ。
私たちが、自分より劣ると証明するために。
翔の選んだ道を、否定するために。
油断なんか微塵もせず──
手加減無しで、容赦無く、こちらを殺しに来る。
……終わった、本当にもう。
勝てる気なんて、微塵もない。特に私にとって、明日のバトルはきっと、オーバーキル確定の処刑の舞台になるんだろう。
と、思わず頭を抱えてしまう私の心境なんか構わず、隣のジャックスは変わらぬテンションのまま話し続ける。
