「He’s a guy, Jax.(そいつ男だぜ、ジャックス)」
別方向から、呆れ混じりの聞き慣れた声が飛んできた。
視線を向けると──そこにいたのは、意外な人物。
ポケットに手を突っ込んだローガン・ヒューズが悠々とこちらに歩いてくるところだった。
彼らが知り合いだったことにちょっと驚きつつも、これでようやくこの修羅場から解放されるかも──とちょっと安堵する。
と、そんな私の前で、『ジャックス』と呼ばれたナンパ男の彼は大袈裟に身体をのけぞらせた。
「Wait…hold up. That was for real?!(はぁ?嘘だろ、アレってマジだったのか?!)」
戸惑ったように眉を寄せながら、もう一度、改めて私を上から下まで見て。
何回見ても納得できないようで首を捻っていたけれど──
結局。
「…Well, whatever. I could still hit that.(ま、いいか。全然抱ける)」
と、普通に開き直った。
思わずため息を吐いてしまう私と翔、爆笑するローガン、殺意を高まらせる遥風、何も理解できていない様子の栄輔。
ジャックスとローガンはこちら側の不穏な空気を完全スルーしながら、ペラペラとネイティブスピードでの会話を続ける。
「Oh, right…Luci said if you keep screwing around with every girl in the camp, it’s gonna be too messy to cover up.(あーそうそう、ルシが言ってたぜ。これ以上合宿で女を食い荒らし続けられると隠蔽が効かなくなるから控えろってさ)」
「Pfft. Jealous much? Tell that virgin nerd fossil I don’t take orders from crusty-ass boomers.(ハッ、嫉妬か?童貞オタク化石ジジイの言うことなんか聞くわけねぇって伝えとけ)」
あのジャックスさん、ボロクソ言ってるその人、一応あなたの所属レーベルの社長だからね……。
性格に問題あるイケメンには数々出会ってきたけれど、中でもこの人は絶対に口を閉じた方がいい人ナンバーワンかも。黙ってればとんでもなくカッコいいのに。
大いに呆れてしまう私とは対照的に、ケラケラと大ウケのローガン。
にしても、この二人がここまで親密だったなんて意外だった。他人を見下すという共通の趣味があるからか……?
