さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「Oh hey—weren’t you that cutie from earlier?(おいおいおい。さっきの可愛い子じゃないか)」


不意に頭上から降ってきた、西海岸ノリ全開のゆるい英語。

聞き覚えのあるその声に思わず振り向くと──そこにいたのは。


今日サイファー中にとんでもないナンパをかましてきた、チャラいラッパーの彼だった。

ゆるくカールがかった茶髪、吸い込まれそうなスティールブルーの瞳、息を呑むほど華やかな異国の造形。


そんな彼は、私の顔を見るなり「Knew it.(やっぱりそうだ)」とにやりと笑って。

そのまま、戸惑って硬直する私の肩にぐいと手を回し、いきなり目の前にインスタのQRを差し出してきた。


「I was just thinking about you. Here, this's my Instagram. Add me, yeah?(ちょうど君のこと考えてたんだ。これ俺のインスタ。追加してくれよ)」


応接室で見た追っかけガールズの時も思ったけど、ナンパする時はまずインスタからっていうのは世界共通なんだな……と変なところで感心してしまう。


そして、そんな光景を前に、ポカンと呆気に取られる栄輔、今にも視線で射殺しそうな勢いの遥風。

翔はというと、『また厄介なのが来た……』とでも言いたげに額を抑えていた。


修羅場が終わったかと思えば、また次の修羅場。

ただでさえ気疲れしてるって言うのに、精神はゴリゴリと容赦無く削られていく。


遥風が彼と喧嘩になって面倒なことになる前に、今度は私が自分で突っぱねないと。


そう考え、慌てて口を開きかけた──その時。