さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


ただ、呆然と立ち尽くす。

自分の声が、急速に色褪せていくのを感じながら。


どれくらい経ったのだろうか──

気がつけば、彼の歌は終わっていた。


しん……と、圧倒されたような静寂が部屋に落ちる。


誰もが、拍手をすることさえ忘れ、たった今の鮮烈な体験の余韻から戻ってこられずにいた。

ユアンは、マイクの前で一拍置いてから、面倒そうに肩をすくめる。


「Done.(終わった)」


それだけ言って。

まるで面倒な宿題でも提出したかのような素っ気なさで、くるりと踵を返す。


誰もがその背中を、目で追っていた。

やがて、ようやく呼吸を取り戻したかのように、ヴァレンシアが小さく呟く。



「…Pisses me off. He’s too good.(……ムカつくわね、上手すぎる)」



──ああ。

巫静琉は、一体どうして私をここに参加させようと思ったんだろう。


日本とは到底比べ物にならない異次元レベルのレッスン、勝てるわけがない強大な才能たち。

そんな中に、こんなにも未熟な私を放り込んで、一体何を期待していたんだろう。


だって、こんなんじゃ──私、何もできない。

頑張ればどうにかなるって、そんなレベルじゃない──そもそも私と彼らは、土俵が違うのに。


悔しくて、悲しくて、情けなくて。

目の奥が焼け付くように熱くなるのを、私は必死に堪えた。


まだ何も掴めていないのに、既に心が折れそう。

スタジオ内はざわめきを取り戻していくけど、その音さえ、どこか遠く霞んで。


私は、無力感の中で、ただ一人俯くことしかできなかった。