さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


そして、彼女が言うところによると、このボーカルクラスは『エリート』クラス。


つまり、『Basic(基礎)』『Intermediate(中級)』『Advanced(上級)』のさらに上、才能が常識はずれに振り切れた人間しか入ることが許されない──

文字通り『怪物』揃いのクラスらしい。


見渡してみれば、確かにその場に揃ったトレイニーたちの中には見覚えのある顔がちらほら見受けられた。

例えば、ハリウッドの人気ミュージカル映画で主演を務めた子役、権威のある国際声楽コンクールで史上最年少優勝の経歴を持つ歌姫、SNSで数百万フォロワーを持つ超有名シンガー。


デビュー前から世界的に名を知られるような、努力で追いつけるレベルじゃないとんでもない人々が集まるのが、ここ『エリートクラス』なのだ。


……正直、もう笑うしかない。

歌なら得意分野だしまだ戦えるかも、だなんて……どの口が言ったんだろう。


このメンツじゃ、私のボーカルスキルなんて中の下どころか下の下の下。


場違いすぎるって、本当に……。


と、完璧に萎縮してしまう私とは対照的に。


ローガン・ヒューズと天鷲翔はというと──


「OMG, is that Sho Amawashi?!(おいっ、あれ天鷲翔じゃないのか?!)」

「No freaking way…Logan is here too…? What the hell!?(ローガンヒューズもいるぞ、どういうことだ……?!)」


その『エリート』たちから、本日何回目か分からない『OMG』の合唱を浴びているようだった。

……なんていうか、ほんっと、住む世界が違うんだな、この人たちって。


目にしただけで絶望的になるような『才能の塊』たちから、当然のように畏敬の念を向けられ、名前だけでその場を沸き立たせる。


特に、天鷲翔。

知り合って数ヶ月、同じ土俵で戦う身近な存在だと思っていたのに──

その背中は、空に光る星みたいに、どうしようもなく遠い。