なんで、急に?今までろくに話したこともなかったのに。
しかも、このタイミング……まるで栄輔との一部始終を盗み聞いていて、ひと段落つくのを見計らっていたかのような。
かなりパニクった表情になっていたのだろう。遥風は戸惑う私を見て、ふっと口元を軽く緩めた。
「なに、バケモン見るような顔して。俺のこと知ってるよな?」
「……皆戸遥風でしょ?」
知らないわけがない。
人気アイドルグループ『TRICK』の元メンバーで、今日の審査でもなんだかんだトップ10に食い込んできた実力者。
収録初日に栄輔をぶん殴ってた記憶から、DV男みたいなイメージしかないけど……。
とにかく、実力もあって、さらに問題児で、最も関わりたくないタイプだ。
けれど、そんな私の気持ちなんてお構いなしに、遥風はドサッと隣の席に腰を下ろしてきた。
げ、なんか、威圧感やばい……。何考えてるのか全然分かんなくて、ヤンキーみたいで怖い。暴力振るってたっていう先入観もあるのかもだけど。
無意識に、体に力が入ってしまう。
「えらー、勉強してんの」
「別に……」
ダボッと広がったパーカーの袖が、彼の指先まですっぽり覆う。
頬杖をついたまま、じっと私の顔を覗き込んでくる遥風。
さらっとした前髪の奥、黒曜石のような瞳がじっと私を見つめている。
うっ、良い顔の暴力……。
なんなの、この圧倒的ビジュアルの破壊力は。
綺麗な顔は見慣れてるはずなのに、なぜかソワソワしてしまう。
本調子が崩れる前に、何か言ってやらないと。
何か、嫌われるような一言を──そう思って口を開きかけた、その瞬間だった。
遥風の手が、私の頬に触れた。
「──っ?!」
冷たい指先が肌をなぞった瞬間、心臓が跳ねる。
ぞわ、と背筋を駆け上がるような感覚。
反射的に、私は身を後ろへ引いた。
「な、なに……っ」
そんな私の混乱なんてお構いなしに、すうっと目を細める遥風。
甘やかで、息を呑むくらい魅惑的な瞳。
まるで、確信を持ったかのような微笑みを浮かべながら、ゆっくりと口を開く。
「お前、ホントは女でしょ」
──時が、止まったような気がした。
しかも、このタイミング……まるで栄輔との一部始終を盗み聞いていて、ひと段落つくのを見計らっていたかのような。
かなりパニクった表情になっていたのだろう。遥風は戸惑う私を見て、ふっと口元を軽く緩めた。
「なに、バケモン見るような顔して。俺のこと知ってるよな?」
「……皆戸遥風でしょ?」
知らないわけがない。
人気アイドルグループ『TRICK』の元メンバーで、今日の審査でもなんだかんだトップ10に食い込んできた実力者。
収録初日に栄輔をぶん殴ってた記憶から、DV男みたいなイメージしかないけど……。
とにかく、実力もあって、さらに問題児で、最も関わりたくないタイプだ。
けれど、そんな私の気持ちなんてお構いなしに、遥風はドサッと隣の席に腰を下ろしてきた。
げ、なんか、威圧感やばい……。何考えてるのか全然分かんなくて、ヤンキーみたいで怖い。暴力振るってたっていう先入観もあるのかもだけど。
無意識に、体に力が入ってしまう。
「えらー、勉強してんの」
「別に……」
ダボッと広がったパーカーの袖が、彼の指先まですっぽり覆う。
頬杖をついたまま、じっと私の顔を覗き込んでくる遥風。
さらっとした前髪の奥、黒曜石のような瞳がじっと私を見つめている。
うっ、良い顔の暴力……。
なんなの、この圧倒的ビジュアルの破壊力は。
綺麗な顔は見慣れてるはずなのに、なぜかソワソワしてしまう。
本調子が崩れる前に、何か言ってやらないと。
何か、嫌われるような一言を──そう思って口を開きかけた、その瞬間だった。
遥風の手が、私の頬に触れた。
「──っ?!」
冷たい指先が肌をなぞった瞬間、心臓が跳ねる。
ぞわ、と背筋を駆け上がるような感覚。
反射的に、私は身を後ろへ引いた。
「な、なに……っ」
そんな私の混乱なんてお構いなしに、すうっと目を細める遥風。
甘やかで、息を呑むくらい魅惑的な瞳。
まるで、確信を持ったかのような微笑みを浮かべながら、ゆっくりと口を開く。
「お前、ホントは女でしょ」
──時が、止まったような気がした。
