一方で、曲が終わり集中が切れたトレイニーたちも、そこでようやくスタジオの後方にいた私たちの存在に気がついたらしく。
誰もが見慣れない日本人を観察するように、ちょっと物珍しげにこちらを見ていたけれど──
やがて、そのうちの一人が目が飛び出んばかりに驚いて。
「…OMG, is that Rogan Hughes?!(オーマイガー、あれってローガン・ヒューズ?!)」
と、隣にいたトレイニーの腕をバシバシ叩きながら叫んだ。
その言葉を皮切りに、スタジオ内にザワッとどよめきが広がる。
と、そんな彼らの反応に心底満足そうに片口角をあげ、ひらりと手を振るローガン。
そのファンサービスに、黄色い悲鳴が一段と大きくなる。
……デビュー前のトレイニーの一人に過ぎないはずなのに、どんだけ人気なんだ、ローガンって。
と、ちょっと圧倒される私をよそに、別のトレイニーがまた興奮したような叫びを上げる。
「Hold up, is that Sho Amawashi right there?!(待って……そこにいるのって天鷲翔じゃない?!)」
「For real?!(マジで?!)」
またもや有名人の登場に、さらにパニックになるトレイニーたち、カオスと化すスタジオ内。
天鷲翔って……すごいのは元々知ってたけど、こんなにも高い実力を持ったトレイニーたちに認知されて騒がれているのを見ると、本当に別世界の人みたいに思える。
当の本人は、相変わらず騒がれていることに良い気持ちはしないみたいで、ポケットに手を突っ込んだまま面倒そうに視線の焦点を外しているけれど。
