「Still playing the untouchable prince, Sho?(相変わらずお高くとまってんな、翔)」
ハスキーさの混ざったバリトンボイスが、皮肉たっぷりに響いた。
その声の主は──
ローガン・ヒューズ。
腕を組んで壁に寄りかかったまま、その瞳に微かに挑発するような色を浮かべて翔を見下ろしている。
「Yet the only place that ever clapped for you was Tokyo.(結局拍手してくれるのは東京だけだったっていうのに)」
その無礼極まりない言葉に、一瞬にして部屋の温度が冷たくなった。
さっきのラッパーの時も思ったけれど……どうしてここの人たちってこんなにも自信満々なんだろう。
あの天下の天鷲翔に対してさえ、『俺の方が上』と言わんばかりの尊大な態度。
私も人から嫌われようとしている以上、この無礼さは見習わせてもらおう、と変な感心の仕方をしてしまう。
それほどに、彼の言動は配慮に欠けすぎていた。
「Don’t twist it. I didn’t run.(誤解すんなよ、逃げたわけじゃない)」
怒りを抑えた翔の冷たい声が、静かに落ちた。
……天鷲翔。
アメリカで活動し、人気が伸び始めていた最中に突如すべてを畳んで帰国し、エマのオーディションに参加した──謎の経歴の持ち主。
彼の過去について、私は何も知らないけれど──
この張り詰めたテンションを見ると、どうやらローガンと翔の間には、部外者が踏み込めないレベルの因縁がありそうだ。
ただならぬ空気に、思わずこくりと小さく喉を鳴らす。
