「はっ……??」
隣で栄輔が零した間抜けな声に、思わず深く共感してしまう。
まず、先頭を悠然と歩いてくるのは──
まるで絵画から抜け出してきたかのような、圧倒的に麗しい美青年だった。
薄く透明感のある陶磁器のような白肌、非現実的なほどに美しいプラチナブロンドの髪。
動悸がしてしまうほどに美しい琥珀色の瞳は、冷たく、どこか退屈そうで──
目に入るものすべてを値踏みするような、鋭く不遜な光を宿していた。
そして、そんな彼の一歩後ろを歩くのも──
また、圧倒的な存在感の美青年。
おそらく190センチはとうに超えているんじゃないかというほどの長身、欧米人らしい筋肉のついた体格の良さ。
黄金色の髪は計算された乱れ感で無造作にかき上げられており、顔立ちはラテン系イケメンの頂点に立つような華やかさがあった。
最初の青年が、研ぎ澄まされた『冷たい美』だとするなら──
こちらは、立っているだけで空気の温度が上がるような、暴力的ですらある色気の塊。
二人とも若そうだけれど、案内役のトレイニーだろうか?
と、かろうじてそんな思考を巡らせる私の背後で。
「You’re late, Luci. (遅かったな、ルシ)」
革張りのソファに深くもたれかかったまま、巫静琉が気だるげに言い放った。
耳に引っかかったその英語に、私は一瞬眉根を寄せる。
……ルシ?
って、まさか。
LUCAのCEO、ルシアン・クロフォードのニックネーム……じゃ、ないよね?
