「っ……?!」
はっ、ちょっと、本当に何……?!!
スポーティでどこか官能的な海外の香水の香りが鼻腔を掠め、先ほどまでのステージ上での熱気がダイレクトに伝わってくるような体温を間近で感じて。
予想外すぎる展開に表情を引き攣らせる私に、彼はニッと挑発するように微笑み、首を傾げた。
「Damn… you're even hotter up close.(おいおい……近くで見たらさらにヤバいな、お前)」
な、何これ……ナンパ?
海外では、ステージ中に飛び降りてファンに言い寄るのがメジャーなの?
……いやいや、そんなわけないよね?
完全に気圧されて何も言えないままでいる私の代わりに、彼の背後のギャラリーたちが今にも気絶しそうな勢いで大暴れしている。
「Nooo way!!!!(嘘ーーーーっ!!)」
「Jax Carter, pick me next, please!!(ジャックス・カーター、次は私を選んで!お願い!!)」
……その内容を聞くに、私は今、完全に彼に見初められた観客という扱いらしい。
なんか、確定でやばいことに巻き込まれてしまった……。
めちゃくちゃ頭が痛くなってしまう私の心境など知らず、滑らかな西海岸英語で話しかけ続けてくる彼。
「But like… why the short hair? You look like a K-pop prince. Or wait…are you into girls or what?(でも……なんでそんなに髪が短いんだ?K-POPの王子様みたいだけど。あ、待てよ。レズビアンか何か?)」
「……What?(え?)」
耳に引っかかった単語をすぐには理解できず、思わず聞き返すと。
「Hey, no offense! Just sayin’ if you ever wanna try a guy, I mean… I can promise it ain’t half bad.(悪気はないんだ!ただ言わせてもらうと、もし男を試したくなったら──まあ、そんなに悪くないってこと、保証できるぜ)」
ニッ、と片口角を上げて、悪戯っぽくそんなことを言ってくる彼。
