……数分後。
迷路のような建物内でトイレを発見し、なんとか着替えることができた私は、ロビーに残してきた彼らと合流すべく来た道を戻っていた。
歩きながら、ついつい物珍しくて周囲を観察してしまう。
このLUCA本社、とにかく広くて部屋がいっぱいあるから油断したらすぐ迷いそう。
内装の雰囲気はかなりエマと似ているけれど、やっぱり建物の中に流れている空気感はエマとはまったく別物って感じだ。
香水やら何やらの香りが入り混じって、日本に比べて、なんとなく雑多で独特というか──
もったりとした重さがあるというか。
日本の建物のようなあっさりとした空気とは全然違う、異国の空気。
そして、さっきから思ってたけど、空調もやたらと強い。
さっきまでは、日本から着てきたニット素材の服を着ていたから分からなかったけど、今シャツ一枚に着替えてみてからハッキリと分かる、ドライな空調の風。
体型を誤魔化すためにゆるっとしたシャツを着ているから、服の裾の隙間から冷たい風が入り込んで、少し寒い。
踊ったり歌ったりしていたら暑くなるから、トレーニーたちにとっては丁度いい温度なんだろうけど……昔から寒いのが苦手な私にとってはちょっとしんどい。
風邪引かないように気をつけないとな……。
と、そんなことを思いながら来た道を戻っていた──
そのとき。
「Aaaaaaaaaah!! JAXXX!!」
「I LOVE YOUUUUUUUUU!!」
曲がり角の向こうから、とんでもない声量の黄色い悲鳴たちが聞こえてきて、思わずビクッと肩を震わせた。
なっ、何事……?
合宿コンテンツの撮影中か何かかな……と思って、私は恐る恐る、その騒ぎがする方を覗き込んでみる。
