さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「っ……?!!」


服の上から肌に染みるひやっとした感触に、咄嗟に腕を持ち上げたけど遅くて。

さっきまで着ていた薄手のオーバーサイズニットの生地は水を吸い、ぺたりと肌に張り付いていた。


びっ、くりした……!!


胸元にもちょっとかかってるし、あと少しずれてたら女バレしてたかもしれない。


「なっ……っ!?うわやった、待ってもうマジでごめんなさっ……!!」

「……大丈夫。水で良かった」


取り乱す栄輔をできるだけ刺激しないようにサラッと答え、何も気にしていない風を装う。

と、そんな私と栄輔の間に割り込むみたいに──横からスッとハンドタオルが差し出された。


遥風だ。


「替えの服は」

「予備のやつあるから着替えてくるね」

「トイレ、そこ左行った突き当たりらしいよ。ちょっと遠いけど」


ソファに溢れた水を拭くふりをしつつ、私の姿を巧妙に隠すように影になってくれる遥風。


気が利くな……。

彼の気遣いにありがたく思いつつ、荷物を持って立ちあがろうとしたその時。


隣の栄輔が、オロオロしながら声をかけてきた。