思わず表情を引きつらせる私を無視して、翔は踵を返すと、静琉と共にさっさとカウンターへと歩き出した。
……栄輔の体重支えるの、女の私には結構辛いんだけどな。
そんなことを思って、去っていく翔の後ろ姿を恨みがましく見送る。
まぁでも、おそらく彼の判断で、遥風に預けるよりは私の方がマシだという結論に至ったのだろう。
やるしかないか……。
仕方なく再度肩を貸しつつ、私はそっと栄輔に声をかけた。
「……ソファ座ろっか」
「……っ、はい……」
少し離れたところから、なんとなく遥風の不機嫌そうな視線を感じつつも、私は栄輔をロビーのソファへ座らせる。
こちらとしても、あまり栄輔の面倒を見ると彼の好感度が上がりかねないので不都合だけど──
こうなってしまった以上、あまり彼のことを刺激しないように優しく接するしかない。
そう割り切った私は、バッグの中からペットボトルの水を取り出し、キャップを開けてやる。
「飲める?飲ませた方がいい?」
「っ、飲める、飲めます……」
私の問いに本気でしんどそうに答え、手を差し出す栄輔。
……無理しなくていいのに、と思いつつ。
やっぱり年頃の男の子だから、他人に飲み物を飲ませてもらうなんてプライドが傷つくんだろうな……なんて考えながら、私は栄輔にペットボトルを手渡した。
──と、次の瞬間。
バシャッ……!!
栄輔の手が、勢い余ってペットボトルの底をついてしまって。
開いたままの飲み口から、水が思い切りこぼれた。
